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夏っぽさはラジオから聴こえる音楽と、この茹だるような暑さだけ。あとはせいぜい着るものが変わるくらいで、夏っつってもたいして何も変わらない。気が付くと忘れてる。そんな他人事みたいな夏は過ぎて行く。
決まってこの時期思い出すのはあの頃の夏の出来事。高い青い空と緑の向こうにそびえる白い雲。庭に水をまいた後、皆で縁側でスイカを食べた。庭に飛ばしたスイカの種が芽を出して庭中埋め尽くすのを、夏休みが終わっても僕はずっと待っていた。懐かしい朝の匂い。セミの声。澄んだ水。カブトムシ。夕暮れの風。浴衣。うちわ。網戸。花火。回る扇風機。風鈴の音。祭りのあとを知った夜。
この夏の日の中に僕は、あの夏の日を探したりして、どこかにないかと探したりして、だけど、あの場所で過ごした時間は、確かに今の僕に繋がっている。
この街に着いた日は真夜中眠れずにテレビを付けた。何を見たのか覚えてないけど、なんか少し泣きそうだったのを僕は今も覚えてる。
夏っぽさはラジオから聴こえる音楽と、この茹だるような暑さだけ。あとはせいぜい着るものが変わるくらいで、夏っつってもたいして何も変わらない。気が付くと忘れてる。そんな他人事みたいな夏が、ただ、過ぎて行く。
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